アツシとシゲルの幸福②

まずは水木しげるより。

いろいろあるのだがひとつ抜粋する。『島』という短編。

 

エビスと大黒が不幸な人間を救おうと幸福の島を作った。

その島ではありとあらゆる欲望がかなうのである。しかし島の広さ的に100人しか入居できない。

うわさを聞きつけたモブキャラが申し込み、公正な抽選を経て入居する。

島には何でも生る木があり、最初の数年は皆よろこんでいた。

しかし、退屈と平穏からくる空しさのため、ひとりまたひとりと島を去っていく。

そこでモブキャラがつぶやく

“理想というやつが手に入ってみると

そいつぁ理想じゃないように

幸福もまた手に入ってみるともう幸福じゃない

人間には適度の貧乏と適度の危険と不安が必要らしい

~中略~

俺はあの不満に満ち満ちた現世こそ人間にとって極楽かもしれないと思うようになった”

そして彼もまた帰るのであった。

 

 

人間とは不思議なもので、金持ちになりたいと思ってなってみたら金の使い方に困り、自由になりたいといってなったもののその自由さに困ってみたりする。

結局テキトーが一番いいのである。いい加減って好い加減なのだから。