アツシとシゲルの幸福 ①

高校の国語の授業で山月記をやって以来、中島敦が好きである。

高校の時は単に変身譚というのと文章の音感がおもしろいな程度であったが、

大学卒業するあたりで読み直してみると李徴の自分語りが身にしみた。

“臆病な自尊心と尊大な羞恥心”っていうのはマージナルマンの頃に多くの人が抱くものであろう。

その一人として半身タイガースなどと揶揄しつつ自戒してきた。

 

水木しげるは小学生の頃、町立図書館にある鬼太郎の本を片っ端から借りて読むぐらい好きであった。小学校の4年か5年の頃にアニメ第四期が始まったのもあってどっぷりはまっていた。

大学生の頃、古本屋でこれまた片っ端からいろいろな作品を買いあさった。

水木しげるの人生観はたぶんに自分の(超)自然主義に影響を与えている。

 

そんな二人には太平洋戦争と南国という共通点がある。

中島敦は1941年~42年に南洋庁で働きパラオに。

その後、水木しげるは一兵卒としてパラオからラバウルをはじめ南国を転々とする。

それぞれの南国と幸福についてふれていく。