すーめろ③

次。

メロスは村に帰る。へろへろの様子を見て心配する妹になんでもない、街に用事を残して来たからはよ結婚式しよと準備を始める。そして相手の家にも行き、無理やり明日に式を行うことを承諾させる。

翌日の結婚式。わいわいと。メロスにはこのままここにいたいという欲が芽生える。しかしそれを振り切り妹に別れを告げる。

メ:疲れたしおいとまして寝ま。大事な用事があるし起きたらすぐに街へ戻る。おまえの兄の一番嫌いなことは、人を疑うことと嘘をつくことや。亭主との間に秘密はいかんよ。ワシが言いたいのはそれだけ。

そうして翌朝、街へ向かう。

 

 

いよいよ。

何の支度もできてないし、せめて葡萄の季節まで待ってという相手を明け方までの議論でねじ伏せ、強引に結婚式を行う。自分は待ってもらっていながら。自己中。非道。

さらに妹に対し、亭主との間に秘密はいけないと言う。自分は心配する妹に対してなんでもない、用事があるので街へ戻ると嘘をつき秘密をつくるのに。二枚舌。

よくよく読めば妹には“亭主との間に”と限定する手の込みよう。つっこまれたところで妹と自分の間には秘密はあっていいのである。隙のない詐欺師。萬田銀次郎もびっくり。