すーめろ① (全6回)

2月はメロスの季節である。

走れメロスギリシャ神話とシラーの詩をベースとした、いわずと知れた太宰治のやつ。だれしも一度は読んだり読まされたりしたものであろう。

どのような印象を持っているだろうか。一般的な印象は、一本気な勇者メロスが人の心を信じられない暴君に信実は存すると見せつけ最終的に改心させて大団円というやつである。

ただそれはいかにも教科書くさい。そこは疑ってかかるべき。少し前に中学生が自由研究でメロス走ってないやんってやっていたが彼の視点が正常であると思う。

そこで、自己中かつ正義の押し売りをするメロス対し批判的つっこみを入れてつつ読んでみたい。

 

まず冒頭。

メロスは唯一の家族である妹の結婚式の買出しに街へ出る。二年前と比してずいぶん静かな街を不思議に思い尋ねると人を信じられない暴君が人を殺しているという。

メロスは激怒して王へ怒鳴り込み、あっさり警備につかまり胸にあった短剣のせいで王殺しの疑いをかけられる。

 

おかしい。

まずは沸点が低い。人を疑い殺しているときいて激高、そらあかんでほなおっちゃんがゆうたろレベルで王に会いに行く感覚。いくら世間知らずの牧人であっても駄目すぎる。

そして短剣を持ったままいく。坊ちゃんも真っ青の無鉄砲。せめて短剣は置いていかないと。それで私はあなたを殺すつもりはないということを王が信じないのは火を見るより明らかではないか。