しぜん2
その技術進歩の過程で多くの人間があぼんしたという胸糞悪い話は割愛する。
手術に成功した人間は即座に戦力足る。新時代の足軽。
しかしながら、そこには代償があった。
というところから本題へ。
脳とヴァンツァーとをつなぐということは脳を酷使するらしい。
急に感覚器官が大量に増えてそこからの情報を処理しなくてはならないからだ。そうして、たいがいのS型手術を受けたものは記憶をなくしていくと。
人間の歩みを考えると便利なものをつくりだし、時短、効率化をすすめてきた。おもしろいのはそうして浮いた時間で何をするようになったかということである。
洗濯は板でもってごしごししてたのから、二層式の洗濯機ができて洗う手間、脱水の手間が省け、今は全自動で脱水層へ洗濯物を移す手間も省けた。
しかし多くの人は浮いた時間でぼーっとするわけでもなくさらになにか別な仕事をするのである。
10時間の仕事が1時間でできるようになったらのこり9時間またそのペースで何か別なことを。結局もとと同じかあるいは人間的なペースを逸脱しているという点においてむしろ以前よりも疲弊する。
なんとなく皆疲れている違和感とはそこにあるのではないのか。